工房七丸の原点である、山梨県という場所。ここはフルーツ王国として知られ、桃、葡萄などの日本一の生産量を誇る地です。
葡萄、桃などの農家も当然数多く、それぞれの畑で育てられている樹々の数は計り知れません。
しかしながら、山梨県、全国におきましてもこれらの樹々を使用した製品はほとんどありません。これは果樹を育てる目的から、多くの幹を主幹から生えさせ、多くの枝がある樹木がほとんどであり、
製品にする際の節などが加工工程での手間が数多くかかる事があります。また、それぞれに加工に向かない特徴を有することもあります。
地産地消が叫ばれる今ですが、果樹を育てる役目を終えた樹々は細かく刻まれ、廃棄されています。この現実と、自分のおかれた立場から、「数多くの手間を惜しまず製品にする事」でこれらの樹々に新しい役割が与えられるのではないか、と考えました。
工房七丸の製品の数多くはこの山梨県産の、桃、葡萄などの古木を利用して製作されております。
しかしながらこれらの木の特徴として、加工品には向かない数多くの問題もあります。桃などは木が腐りやすく、製品化できる部分が1本の木から約30%程度、また葡萄などは幹が細く、蔓状でねじれが生じるため、製品化の為には、細かな加工が必要とされます。
この地に生き、これらの木に育てられた自身を振り返ると、果樹の生産を終えた木々がそのまま廃棄される現実を悲しく、切なく感じました。また、新たな使命として使い道を模索していたところ、寄木などの手法を用いた製品化に行き着きました。
数多くの手間も、樹々や製品への愛情としてゆっくりと造り上げております。大量生産の不可能なワンメイク商品です。
是非一度お手にとってお確かめ頂けると、我々工房七丸としても、この樹たちにとっても大変幸せで、大変うれしい事です。